Maybe I'm Amazed

収録アルバム マッカートニー(1970)
作詞作曲 ポールマッカートニー

 1970年4月17日発売「McCrtney」収録曲。よくアルバム「アビーロード」のメロディを引き合いにだし、ビートルズ末期のポールは「神がかり」と表現する人がいるが、私が言うまでも無いがポールの才能はビートルズが解散した後もけっして失われたわけでない。それはビートルズ解散後、ソロ活動、ウイング結成、その後のソロ等の音楽活動をみれば、明らかである。しかし、あえて不正確な表現を承知の上で、仮に「神がかり」という表現を借りるとしたらこの曲はポールが「神がかり」的な才能を発揮していたとされる時期に作られた曲だ。そして、この曲はその「神がかり」的な才能を裏付けるような出来上がりになっており、ビートルズ末期のポールの傑作「Let It Be 」や、「The Long Winding Road」に勝るとも劣らない出来である。ポール自身がこの曲についてどのような評価していたかが伺える興味深い話がある。これは又聞きで出典が不明で正確な話であるかどうか分からないが次のようなものである。
ビートルズ末期ジョージマーティンがレコーディングの合間にポールの[maybeI'mAmazed]を初めて聴き「是非その曲を次のビートルズのアルバムに入れたい」旨のこと をいうとポールは「ダメだ。これは僕のソロアルバムに入れる予定さ」と断ったというものだ。更に『ビートルズ全曲解説』に「メイビーアイムアメイズド」が『ポールマッカートニー』では一番成功した曲だね」というポール自身のコメントが載っている。つまりポール自身もソロアルバムの核としてこの曲を考えていたのである。もし『Abbey Road』がビートルズにとってラストアルバムにならず(実質、発売は周知の通り『Let it Be』が最後だが)次のアルバムが製作されていたとしたら、この曲はアルバムマッカートニーの最大のハイライトとなっているのと同様に、ハイライトになっていたに違いないであろう。
 どんなミュージシャンにでも短所はある。短所は同時に長所にもなり、個性ともいえる。ポールが一般的に批判を受けるのは(特にビートルズ解散後)「歌詞が軽い」とか「毒が無い」「馬鹿馬鹿しい」といわれることが多いようである。短所は同時に長所にもなり、個性ともいえるのだが、もし「Magneto and Titanium Man」(大好きな曲だが)のような半分冗談めいた曲ばかりをやっていたら例えポールファンでもこの批判に黙って頷くしかないかもしれない。しかし、このような批判を言う人がいたとしても、この「May Be I 'm Amazed」を聴けばうなってしまうに違いない。この曲はアンチポールマッカートニーさえ、引き込んでしまう何かがある。その「何か」が「従来のスタンダード・ナンバーの域をこえたポールのスタンダード・ナンバー」(『マッカートニアルバム解説』)といわせているのであろう。ではその「何か」とは何であろうか?
 この曲の素晴らしさの一つに多くのビートルズナンバーがそうであるよう、何度聴いても飽きないという点があげられる。なんどきいても飽きない音楽とは、究極の音楽といえるかもしれない。この曲はポールの一般にビートルズ代表作であるイエスタデイ(だれにでも歌いやすくメロディアス)でもなければ、レットイットビー(歌いやすそうに思えるがポールのように雰囲気をだせる歌い手はそうはいないであろう)や、ザロングワイディングロード(甘くどちらかといえば平坦な歌いっぷり)などに比べるとがけっしてメロディーがずば抜けて美しいわけではない。この曲を支えているのはメロディーというよりは、ポールのボーカルといえる。そのボーカルはプロフェッショナルそのものである。それは例えるなら研ぎ澄まされたナイフのような激しいものだ。ソムリエがワインの評価するときに使う表現を借りるとすれば、distinctive(他とはちがった、独特の味わい、優れた)、masculine(力強くたくましく、特徴の強い)、crisp(若々しく、健康的、心地よい刺激)といえよう。この曲の魅力はバラードのもつ美しさ、切なさと、ロックの激しさを両方持ち合わせているメロディ、ボーカルである。更にこの曲の魅力を支えているものを考えるとすれば、ポール自身のキャリアである。ビートルズ解散直後ということが、ただ単に激しい曲で終わらず、ビートルズ解散という事実が、切なさをこの曲に与えている。またキャリアとはビートルズにおける音楽活動だけを意味するのではなく、一人の人間としてのキャリアである。ビートルズ研究関連の本で若くしてイエスタデイを完成させたポールに音楽的成長は見られないというの読んだことがある。それはポールの若くして完成された才能を最大限に褒め称えた言葉でもあるが、たとえ音楽的に成長が無いとしても、人間としての精神の成長が、彼の音楽作品に深みを与えている。
 このようにこの曲を支えているのはポールのキャリアであり、そしてなんとい天性のセンスである。
完成度が高いとはいえ、アルバム「マッカートニー」のこじんまりとした雰囲気のなかからけっして逸脱していない。そのこじんまりとしたムードがこの曲から余計なものの一切を省いている。
この頁を書くにあたり、歌詞を読み直してみた。歌詞に、「Baby I'm man」(僕はただの男)とある。これはビートルズメンバーのポールではなく、一人の男ポールマッカートニーを意味しているのであろう。
 マッカートニーの裏ジャケットには赤ん坊を懐に抱くえがおのポールの姿。アルバムマッカートニという名の通り、この曲の「Baby I'm man」の通り歌詞ビートルズの一人ではなく、まさしく家庭を持つ一人の男ポールマッカートニの姿であった。この曲はそのすばらしい出来に対して、一般的に行って知名度は決して高いとは言えないかもしれない。それはあまりにも華々しいビートルズの後に出た余りにもかざりっけの無い「マッカートニー」というアルバムのせいにあるかもしれない。ビートルズのアビーロードを豪華なパーティ衣装に例えるなら、マッカートニーは普段着すら身につけていない、下着にTシャツ一枚といった無防備なアルバムである。ビートルズ解散直後、正確に言えば、解散以前に作られていた曲であり、ビートルズのキャリアを総括する曲といっても良く、ある種のポール音楽の到達点であるといえる。
 傑作であり、ポール自身のお気に入りにもにもかかわらず、ベストアルバムの類には収録されていない。ただ最近発売された「WINGSPN」に収録されているのみである。其の辺がマニア心をくすぐる。
 尚この曲は必ずライブで取り上げられている。同じ曲でありがなら、ライブごとにさまざまな表情を聞かせてくれる。
最後に数多くのライブ演奏の中から私が所有している音源を挙げていく。

@ 『McCartney』・・・オリジナルアルバム。音質良好。
A『Paul McCARTNEY&WINGS...NIGHTS AT THE  HAMMERSMITH1973』・・・ブート。1973年5月26日、27日ライブ。音質極悪。
B『J.P.M TV-SPECIAL&BACKYAD TAPE』・・・ブート。1973年テレビスペシャルでのライブ音質悪いが若さあふれる張りのある声が魅力。近年のライブと比べると、若いってそれだけで武器なんだなと思う。エンディングは完成されてないようだ。
C『ライブニューキャッスル』ネットで知り合った方に頂いた。ウイングス初期のライブにしては音質はかなりいい。演奏は『WINGS OVER AMERICA』に比べるとラフだが、聴いていて惚れ惚れするポールの声。曲が終わる直前の絶叫は最高の感動を
与えてくれる。
D『WINGS OVER AMERICA』・・・オリジナルアルバム。この曲の魅力であるポールのポールの最強のボーカルが堪能できる。僕は身震いしてしまうこと間違いなし。因みに同じ音源でB面Soilyにてシングル発売され、英国で28位、米国では10位。邦題は『ハートのささやき』。(『地球音楽ライブラリービートルズ』より)
E『Wings-Last Flight』・・・ブート。1979年。グラスゴウコンサート。音質良好。USAライブに比べ声の出が若干悪い。
F『WINGSPAN』・・・オリジナルアルバム。『McCartney』と内容は一緒だが、音質がリマスターされているので格段に良い。音質最高。
G『BACK IN THE U.S』・・・オリジナルアルバム。音質良好。60才でもパワフルな演奏を聞かせてくれる。また来てくれそう願わずにはいられない。

                                                2004年5月13日

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